①設計上の留意点
摩擦杭はどうしても耐力不足を避けることができず、不同沈下による建物傾斜が発生しやすい。したがって、その不備を補うために杭長をなるべき長くする(杭長は杭径の25倍かつ25ⅿ以上とし、全杭長の1/3以上は過圧密層に根入れする)さらに建物基礎体を地中梁等で基礎全体の剛性を高くする。
当地盤のようにN値が2以下の軟弱層では、N値による粘着力の推定が信頼性に乏しいので、別途に土質試験より粘着力を求めて最大周面摩擦力度を推定する。また、杭中心間隔が杭径の5倍以下になると群杭効果が表れるので、周面摩擦の検討は群杭効果による低減を考慮する。
②設計に必要な地盤調査・試験
地盤調査対象は軟弱な粘性土層を主に行う。調査・試験は
・土の標準貫入試験の他乱さない試料採取(深さ方向に3か所程度)を行って
・土の物理試験(土粒子の密度、土の粒度、コンシステンシー、湿潤単位体積重量の各試験)
・土のせん断試験(一軸・三軸圧縮試験を行って粘着力を求め、その値から杭周面摩擦力を推定する)
・圧密試験(軟弱な粘性土層の上中下各層の沈下性状を知り、周辺地盤の沈下と建物の沈下を推定)
を実施する
③摩擦杭基礎の施工上の留意点
摩擦杭であるため、杭周面摩擦力が十分確保される杭形式を採用されることに留意する
杭の周面摩擦力が期待できる工法は
・打ち込み式(打撃、バイブロ、)工法
・場所打ち杭工法
・鋼管ソイルセメント杭工法
が挙げられるが、既成杭で設計がなされていた場合は打ち込み工法を採用する。周辺地盤が打ち込み工法を許さない環境条件の場合は、中堀埋め込み杭工法またはソイルセメント使用のプレボーリング埋め込み工法を採用する。
0コメント