①地形②土質・地質③地質構造④法面表層状況⑤変状・損傷の項目について述べよ
①地形;崖錐及び崩壊跡地は地盤の固結が不十分で、これらの地形でののり面は最も異常が起こりやすい。これらの地形は地質図や現地踏査で簡単に判断でき、十分な留意が必要である。また、台地の裾部もせん断応力が卓越し、地下水が流出しやすいため留意が必要である。台地の上部や尾根部では法面にそれほどの異常は生じない
②土質・地質;風化しやすい土質と浸食に弱い土質に十分注意が必要である。前者はスレーキング性の泥岩やモンモリナイトを多量に含む含む凝灰岩、頁岩が代表的な地質であり、これらの地質の法面は、切土後に風化、劣化が急速に進行するため十分な配慮が必要である。後者の代表的な土質はシラスで、土粒子の密度が小さいため雨水などの流水で容易にガリ浸食が起こり、深いガリ浸食は大規模な法面崩壊の誘因となる
③地質構造;地質の割れ目や狭在する弱層が卓越する地質は十分な留意が必要である。これらの節理や弱層は切土による応力解放、浸透水の増加などで強度が低下しやすく、のり面が不安定になりやすい。また割れ目や弱層の方向が流れ盤の場合は切土の影響を受けやすく、斜面崩壊を起こしやすい
④法面表層の状況;法面の浮石や転石は浸食の結果であり、これらが散在する法面には十分注意が必要である。また、のり面に湧水が見られる場合も十分に留意する必要がある。法面の安定性はその被覆状態でも異なり、裸地や植生によるのり面は、法枠工やアンカーなどの構造物で補強した法面より、より慎重な監視が必要である。
⑤変状・損傷の種類;法面変状は水による損傷とすべりによる損傷に大別される。前者ではガリ浸食、洗堀、パイピング、陥没などの損傷があり、後者には法面のはらみだし、法尻部の亀裂、法肩のテンションクラック等の損傷がある。
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