地すべり危険地に道路を建設する場合には、路線の変更などにより地すべり地帯を回避することが賢明であるが、やむを得ず地すべり危険地に切土または盛土で横断せざるを得ない場合には、すべり土塊の安定性をより高めるために、地すべり部の頭部を切土で通過するか、末端部を盛土で通過するよう配慮する必要がある。地すべり頭部を切土で通過することにより、すべり土塊の重量が軽減され、滑動力が小さくなる。また、末端部に盛土を行うことで、すべりに対する抵抗力を増やすことになるからである。
すべり土塊部に切土や盛り土を行わざるをえなう場合には、この切土及び盛土によりすべり土塊内に新たなすべり誘発する可能性があることから、すべり土塊内の地すべりに対する検討が必要となる。
すべり土塊内で切土と盛り土を同時に行うような片切り片盛の場合は、盛土によるすべり土塊の安定性の向上が期待できるものの、切土部分上方に残された斜面に対してはより不安定となることから、その残された斜面の安定、切り盛りによる新しいすべりの誘発、地すべりの安定度の変化に注意する必要がある。
すべり面が段階状または、層すべり状のいわゆる後退性地すべりでは、いずれの場所に路線を設定しても、従来すべりの他に新しいすべり発生の可能性を生じる。したがって、原則として路線を回避するか、橋梁で避けるのが望ましい。
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