29.Ⅲ.2 自然災害において厳しい財源化の中、地盤に関する防災・減災について、社会資本整備を進めるに当たっての課題。自然災害の災害誘因・地形地質の自然誘因・土地利用や既存施設の社会誘因の観点から

自然災害の災害誘因・地形地質の自然誘因・土地利用や既存施設の社会誘因の観点からそれぞれ1つずつ記述せよ。また、対応策、留意点、取り組むべき技術課題をハードの面とソフトの面から答えよ。


①自然災害の災害誘因

<課題>自然災害などの災害誘因;わが国では、地球温暖化に伴う機構変動により台風や豪雨が増加しており、また火山活動も活発化している。更に従来の地震に加え、南海トラフ地震や首都圏直下型地震の発生が切迫しており、巨大災害の発生が懸念されている想定を超える災害などが起こる状況下で、厳しい財源のなか、安全・安心な社会資本整備を進めていくことが課題である。

<対応策>ハード対策として比較的頻度の高い災害(堤防嵩上げや砂防堰堤整備、アンカー工や地すべり対策など)に対して対応する。ソフト対策としては地域住民に対してハザードマップの配布・周知を行う。また、事前にタイムライン(防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画)を策定しておく緊急時に混乱を起こさないようにする。

<留意点>ハード対策は選択と集中で行い、施設の構造を粘り強い構造とする。ソフト対策は自助、共助、公助を基本とするが、地域コミュニティの向上を図ることが必要である。

<技術開発>ハード対策は追加補強・補修が容易かつ低廉に行うことができる構造の技術開発が望まれる。ソフト対策は高齢者世帯でも迅速かつ確実に防災情報が伝達できるシステムの開発が望まれる。リモートセンシング(離れた個所からの測定技術)による地形データの調査、基礎調査の高度化・効率化の技術開発が挙げられる


②地形地質の自然誘因

<課題>わが国では国土の7割が山地であり、土砂災害が発生しやすい国土である。沿岸部は沖積砂質土が分布しており、地震により液状化しやすい。また、河川は短く急勾配であることから豪雨により氾濫しやすい。このような自然素因を踏まえて、安全・安心な社会資本の整備を進めていくことが課題である。

<対応策>土砂災害の危険性の周知徹底させるため、土砂災害警戒区域などの指定のための基礎調査を迅速に行い、結果を公表する。また、建築基準法などの改正により土地開発の規制を行う

<留意点>基礎調査の対象個所は膨大な数となるため、重要度により優先順位をつけ、選択と集中により抽出する。重要度は被災した場合の影響の大きさや復旧の難易度によって設定する。また、土砂災害警報区域などに指定されることによる不動産価値が下落する事を避けようとする住民の意思が障害になることも考えられるため、住民に対し土砂被害の危険性の十分な説明が必要である

<技術開発>基礎調査を迅速に実施するためには、新技術の導入は不可欠である。例えばドローンやGNSS(衛星測位システム)等の測量とともにAIによって地形判読を行い危険個所を抽出するなどである。




③土地利用や既存施設の社会誘因

<課題>わが国では高度経済成長長期以降に社会資本が急速に整備されてきた。それに伴い、従来人のすまなかった土砂災害の危険性のある山地付近まで宅地開発が進められてきた。また沿岸部にも土地開発がすすめられ、地震による液状化の被害の危険性が高まっている、さらに既存の社会資本の老朽化が課題となる

<対応策>効率的な維持管理手法としてICTを活用したUAV(ドローン)測量、三次元レーダー測量を活用することにより少人数で迅速に管理を行うことが可能となる。

<留意点>選択と集中により社会資本の重要度に応じた視線つ維持管理計画を作成し効率的・経済的な社会資本の維持管理を行っていく必要がある。

<技術開発>今後建設される社会資本についてはメンテナンスフリーとなる構造やメンテナンスしやすい構造にする等ライフサイクルコストを念頭に入れ調査・設計・施工を行うことが重要である。


  

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