30.Ⅱ.2.2軟弱地盤(粘性土)に15ⅿ掘削。水位有。10ⅿ離れた位置にマンションが有り、周辺構造物への影響が懸念させる現象を挙げ、検討方法、対策案と設計・施工上の留意点を説明せよ

①地下水流動の阻害

②地下水低下に伴う軟弱粘性土の圧密沈下

③圧密沈下に伴うマンション基礎杭の負の周辺摩擦力(ネガティブフリクション)による杭の支持力及び杭体の損傷

④土留め壁の変形に伴う背面地盤の沈下


①地下水流動の阻害;連続した地下構造物を構築する際、本体構造物や仮設土留め壁が地下水の流動阻害を生じさせる可能性がるため、事前に地下水の流れや地下水の利用などを確認して、漏水、浸水、井戸枯れ等の地下水流動阻害を生じないようにしなければならない。リチャージ工法などの上流側の水を下流側へ移動させる工法を土留め施工時より実施する必要がある。

②地下水低下に伴う軟弱地盤層の圧密沈下;軟弱粘性土の地下水を低下させた場合、地盤沈下により周辺施設への多大な影響を与えるため、地下水位の確認及び軟弱粘性土層の圧密試験を実施して、周辺施設へ影響を及ぼさないことを確認する必要がある。影響が推定される場合には、地下水位を下げないように土留め壁の止水性を高くするなどの対策を講じる。

③ネガティブフリクションへの対策;圧密沈下に伴うマンション基礎杭の負の周辺摩擦力(ネガティブフリクション)による杭の支持力及び杭体の損傷が懸念される。対策案として、土留め壁背面への高圧噴射撹拌工により、地盤を固化させることで止水機能を向上させる。設計上の留意点としては、改良体が土留め壁に倒れないように、外的安定性を確保する範囲まで改良できているか確認が必要である。

施工上の留意点としては、事前に溶出試験を実施し、六価クロムが環境基準を超過しないか確認が必要であることが挙げられる。検討は弾塑性解析により行う。

④土留め壁の変形に対する対策;検討方法としては、弾塑性解析により土留め壁の変形量を算出するか、FEM解析により、変形を推定する。対策案としては、土留め壁の剛性を高める、切梁プレロード、先行地中梁が挙げられる。設計上の留意点としては粘着力の推定はN値からの推定では精度が低いため、室内試験により求める。施工上の留意点としては、土留め壁からの漏水を防ぐために、鉛直精度を保って施工することが挙げられる。


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