①負の摩擦力の原理と杭基礎への影響について
・杭基礎周辺の(軟弱地盤上の盛土や地下水の低下による)圧密沈下により、杭基礎に負(下向き)の周辺摩擦であるネガティブフリクションが発生する。これにより杭を引き下げる力が作用して杭先端の沈下や杭本体の破壊により構造物が沈下して座屈を引き起こす
地盤の圧密状態(圧密未了、正規圧密、過圧密)を確認して、ネガティブフリクションに対策する対策工の必要性の有無、有りの場合は負の周辺摩擦力度を算出する必要がある
②負の摩擦力を検討する際の留意点
・杭頭沈下量の検討
盛り土の高さや上載荷重、軟弱地盤の土質や層厚、地下水位に留意して沈下量(mv法、Cc法、e-logP法)と沈下時間を算出し、両者が大きい場合には負の周辺摩擦力度を算出して対策工を検討する必要がある
・杭対応力の検討
杭体の損傷を負の摩擦力から防ぐため井に、負の周面摩擦力を含めた鉛直力の作用に対して杭材が降伏しないかどうかの照査が必要である。
・杭の鉛直支持力の検討
摩擦杭の場合には負の摩擦力を考慮した杭の許容支持力を算出し、これに対して押し込み力が満足されているか照査する必要がある。ここで負の周辺摩擦力が作用する部分は圧密層の75~95%より上である。
・なお対策工は杭径を大きくする、杭間隔を密にする、鋼管杭表面に特殊なアスファルトからなるすべり層とポリエチレンの特殊管で二重塗装したSLパイル、NFパイルを検討することが効果的である。
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