15.Ⅰ.2.3.1 スレーキング現象とその問題点について説明せよ

スレーキングとは、不飽和状態または乾燥状態にある岩塊を水浸させた場合に、水が毛管現象によって岩塊内に侵入し、造岩鉱物粒子の結合力を著しく低下させて、岩の細粒化と強度低下を引き起こす現象である。自然現象のままではかなり、固結力があっても、地下水の変動、地山掘削による応力解放と吸水膨張、風化などいより、急激に固結力を失う。その結果、細粒化した岩塊が空隙を充填して粘土化し、地盤沈下や斜面崩壊等を引き起こす。

 道路盛土や宅地造成、埋め立て地などでは、盛土材の制約から泥岩、頁岩等の堆積軟岩を利用した場合、日照りや降雨によって岩石が細粒化・軟化し盛り土の崩壊や不等沈下による構造物の傾斜、基礎地盤の不安定化等著しく安定性を損なうことがある。スレーキング現象による事故例として、斜面掘削に伴い、弾性膨張した泥岩が地下水で容易にスレーキング化して、切土斜面がすべり破壊したものや、造成地盤の盛土に使った泥岩が雨水を吸収して、細粒化して、地盤沈下を引き起こし、基礎工事が中断した例がある。

 通常のボーリング調査では、スレーキングによる水浸沈下の予測は困難であり、事前のスレーキング試験等による岩石の把握が重要である。

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