24.Ⅰ.1.3 堆積土15ⅿの下に基盤岩。地すべり頭部の痕跡あり。25ⅿ下にトンネル計画。地すべり対策の調査内容と計算上留意点を述べよ。

<調査計画>

地すべり対策のために必要な調査の目的として

①地すべり規模の特定

②地すべりの活動状況の把握

これらの結果を総合解析し、対策工に必要な設計条件を把握する。同設計条件及びそれぞれの目的を踏まえた調査計画を以下に示す

(把握事項)初期安全率の決定、必要抑止力の算定、地下水排除工の計画に用いる地下水位の特定

①地すべり規模の特定

・調査ボーリング;ボーリングコアを採取し、崩積土及び基盤岩の分布状況を把握する。特に移動土塊と推測される崩積土と不動地盤である基盤岩との境界付近においては(擦痕、鏡肌を呈すすべり面)または、(破壊ゾーンとして攪乱軟化したすべり帯)等の分布に注視する。(配置位置)地すべり頭部、トンネル上方、トンネル下方の推定末端部の3か所

・高密度電気探査;崩積土と、基盤岩では比抵抗が異なる。調査ボーリングによる地層区分を踏まえ、比抵抗の相違区分することで、地すべりブロックを特定する。比抵抗は含水が高い場合より低くなることから地すべりに影響する地下水の分布状況が把握できる。加えて、基盤岩に緩みがある場合、同部の比抵抗が低くなる。トンネル計画箇所周辺の劣化部の有無を把握する。(配置位置)地すべり主測線、主測線に直行する横断3測線、横断3測線の内1本はトンネル計画線上に配置する。

②地すべり滑動状況の把握

地すべりの滑動状況を把握するため、ボーリング孔は孔内傾斜計を設置する。また別孔を掘り地下水観測孔を設置する。孔内傾斜計では地すべりの滑動の有無、及び滑動深度を把握する。地下水位計では滑動誘因となる地下水位の変動状況を把握し、孔内傾斜計の計測結果と併せ、地すべりの滑動機構を解明する

③安定計算上留意すべき点

安定計算では、初期安全率の設定が抑止力に大きく影響する。一般的に滑動が活発な場合、Fs=0.95~0.98が、滑動が顕著でない場合Fs=1.0がとられる。本個所では地すべりの痕跡が古く、調査の結果著しく不活性である可能性が考慮された場合、規模にもよるがFs=1.05とすることも考慮される。安定計算ではこの緩みをすべり面強度の低下で反映させ、影響が考慮する範囲について提言したすべり面強度を用いて安定計算することで、トンネルの施工影響による安全率の低下が数値化できる。


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