25.Ⅲ.1.2 地盤構造物の地震対策の課題解決について、地盤工学、社会制度の両面から提案せよ

地球温暖化による気候変動により、集中豪雨の発生や河川水位の上昇など、建設当時の設計条件が変化している構造物が増加している可能性がある。また、近年の大規模地震の発生の教訓を踏まえ、地盤の液状化や設計深度の見直しなどに対応できていない古い時代、古い設計手法の切土、盛土、擁壁等が現在の技術から見ると安全性が不十分な構造物が多く存在する。このような課題に対して地盤工学の面から解決策を述べる。

 地盤工学の面;地盤構造物は膨大な量のストックがある。これらすべてを調査していくことは、膨大な量のストックがある。これらすべてを調査していくことは、多大な費用と時間が必要となる。大規模地震の発生が近い将来に迫っているので合理的速やかに調査する必要がある。例えば、現在、技術の成長が目覚ましいICT技術を活用する方法も一つと考えられる。センサーを土構造物に設置して、そのデータをインターネットを介してセンターに送り、ソフトにより多数の対象の挙動を監視して問題のある構造物を探し出すことができる。

 設計条件の変化や古い手法で設計された構造物を現在の必要性能に向上させるためには、当たらな設計手法の導入が必要である。近年は高性能で大容量のパソコンが安価に入手できるようになった。従来から開発されてきた数値解析手法をこのような構造物の設計に取り入れて、地震対策の設計を高度化する必要がある。

 社会制度の面;少子高齢化社会の進展により税収入の減少や介護や医療に振り分けられる予算が増加し、建設分野の予算の減少が著しい。しかしながら、地盤構造物の数は膨大で、広域多所に存在し、地震などで災害を受けた場合は、復旧に多大な時間と予算を要し、人命の安全確保の面からだけでなく、復旧復興に多大な遅れが発生し、日本経済に大きな影響を及ぼすことが考えられる。限られた予算の中で地震対策を進めるための課題解決策を以下にしめす。

 災害発生の影響の大きい大都市を中心に対策を進めることや、山間地域などで復旧工事が容易ではない場所を選択し集中的に対策を行う。

 地震などの被害に発生に対して、構造物強化のみで対応するのではなく、迅速な避難などソフト的な対応を行うことにより、対策費用を縮減することが必要である。このようにすることにより、少しでも多くの施設に対して対策を考える。

 建設分野の予算が減少することが、少子化の進展と相まって建設を志す若者が減少している。建設労働者や設計に従事する人たちの地位向上を図り、社会のために貢献できる魅力ある職業であることを、教育を通して、広く伝えることが重要であると考える。


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