20.Ⅰ.5.3 一般的な地滑り対策工と、今回の対策

 地滑りの対策は抑制工と抑止工に大別される。抑制工とは地形、地下水状態などの自然条件を変化させて地すべり活動を停止または緩和させるものであり、地表水排除工、拝土工、押さえ盛土工等が該当する。抑止工とは構造物を設け、その抑止力により地滑り滑動の一部または全部停止させるものであり、抑止工杭、グラウンドアンカー工が該当する。

 一般には即効性、安全性、経済性の観点から抑制工を優先して選定実施し、地すべりの動きや力を軽減させてから不足分を抑止工により補い、計画安全率を満足させる。

今回の地滑りは降雨による地下水の上昇が直接の誘因となっているため、地下水排除工を実施して、雨水の浸透を防止するとともに、集水井、地下水排除工の実施に当たっては、地下水調査を実施し配置計画を行う。

地下水位低下のみでは計画安全率に達しない場合は追加対策が必要となる。その際拝土工は新たなすべり面を誘発する恐れがある為適用が難しい。押さえ盛土は地滑り末端部洗堀された形状であるため有効であるが、斜面最下部が河川に近接しているため、地下水位上昇を防止するための措置が必要。抑制工のみで計画安全率を満たせない場合は抑止杭工の検討を行う。


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