1.はじめに
我が国の地形、地質、気象、地理的に極めて厳しい条件下にあり、洪水、土砂災害、地震、噴火、雪害、高潮、津波など自然災害が非常に多い国である。特に近年台風の上陸、土砂災害、地震など多くの災害が発生し、国民の生命や財産に多大な被害をもたらした。
我が国が災害に強く、安全・安心な国土を形成していくための今後の社会資本整備のあり
方について、以下に述べる。
2.我がくにの防災面における現状と課題
我が国は人口集中地区に多くの中枢機能が集中し、高密度な経済活動を行っている反面、自然災害に対して極めて脆弱な状態である。また、これまで被災した地域の中には完全復旧されていない箇所も多く、再度の災害が心配される。
一方、近年の災害は大規模化、多頻度化するだけでなく、被災の様相も想定外のものが増加している。これは、単に自然現象の変化だけでなく、少子高齢化や地域コミュニティーの衰退など、様々な社会環境の変化にも起因していると考えられ、施設の強化だけでは対応が困難になってきている。
これらのことから、今後の我が国の災害にあたって、特に以下の課題に取り組む必要がある。
①災害に脆弱な人口密集地域、被災地の未復旧地域などへの早急な対応
②自然の力は施設の能力を超えるということを念頭に置いた減災による災害最小化への取り組み
③高齢者や」乳幼児の災害時要援護者を考慮した防災体制の確立。災害時の地域共助体制の構築
④被災直後の確実な避難・支援・復旧活動の確保
3.災害に強い国土づくりの具体的方策
<施設整備による防災性の強化>
①河道拡幅、ダム・遊水地の整備、河川堤防・道路構造物・港湾岸壁等の耐震性・免振性の強化
②人口密集地の都市再生化
③防災安全街区の整備(役所・病院・公園等)
④大深度地下や超高層ビルの防災性の強化
<災害情報、緊急避難情報の平準化>
常に災害に対する危機感を持ち、災害発生時の対応方法について地域住民が十分理解することで、地域の共助体制を構築し、ひいては被害を軽減する。
①いつどこでも受け手側にわかりやすい、IT,マスメディア等を活用した災害情報提供システムの構築
②市町村レベルでの地域に密着したハザードマップなどのでいい、災害リスクの公表
③平時から地域住民が確実に認識できる避難誘導サイン、誘導情報システムの構築
<総合的な防災対策の推進>
複数のハード対策やソフト対策を複合的に組み合わせ、関係機関が共同して戦略的に実施する防災対策を推進し、一層の防災・減災効果を発揮する。
<防災施設の質の高度化>
施設の防災性の強化だけにとどまらず、環境面、景観性、価値観の多様化、ユニバーサルデザインなどにも配慮した防災施設の質の高度化を図り、利便性と機能性のより高度な施設を整備する。
<効率的・効果的な施策の実施>
限られた財源でより効果的な対策を実施するために重要性の高い施策順に戦略的・重点的な財政投入を行う。また、各種事業間との横断的な連携を図りつつ、地域住民との合意形成を図り、厳格な時間管理と事業評価のもとに実施していかなくてはならい。
4.おわりに
我が国が美しく文化的で、国民がより豊かに生活していくためには、国土の安全確保は欠かせない。我々技術者は、高い技術者理論とグローバルな視点に立ち、高度な専門技術を駆使して国土づくりの一翼を担っていくべきであると考える
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