17.Ⅰ.2.7.2 建物の不同沈下を求める手法及び不同沈下算定時に考慮すべき留意点を、即時沈下、圧密沈下に分けて述べよ

①即時沈下

即時沈下では、荷重に変化が生じた際にその影響による沈下が発生することから、建物の各部位が構築されるたびに、その荷重増加による沈下が生じることとなる。また、躯体の構築が進行すると、荷重が増加するだけでなく建物の剛性も変化し、荷重増加がその時の剛性に応じて配分されることから、解析モデルとしては、建物を基礎だけでなく上部構造までモデル化し、さらに、施工計画を反映した部材の剛性の評価を考慮した解析を実施することでより現実に近い不同沈下量を推定することができる。

 なお、即時沈下量を算定する解析では、地盤は弾性体として評価し、作用する荷重pに応じた図表などを用いて沈下量sを推定して、地盤ばねkをk=p/sによって設定する

②圧縮沈下

不同沈下を求めるための考え方は即時沈下と同じで、躯体の剛性を考慮した解析モデルに荷重を作用させて沈下量を算定するが、圧密沈下は、荷重に伴って発生する過剰間隙水圧が、地盤の透水性が低いためにゆっくりと長い時間をかけて消散する事によって発生することから、この沈下は建物が完成した後に生じる。そのため通常は建物の剛性は完成後の剛性を適用する。

解析モデルにて考慮する地盤の変形特性は、圧密沈下を対象としていることから、地盤のe-logP曲線に基づいて設定する。圧密沈下の場合には、作用する荷重に対して、正規圧密状態なのか、未圧密状態なのか、あるいは過圧密状態なのかによって発生する沈下量が大きく異なるため、圧密試験結果に基づいて、圧密降伏応力を精度よく設定することがひつようである。また、作用する荷重についても同様に、精度良く設定することが必要なので、即時沈下の検討において、躯体の剛性を考慮して再配分された荷重を使用するなど配慮が必要である。

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