2018年Ⅲ

地盤内に施工される、杭基礎、地盤改良、グラウンドアンカーなどの構造物(以下、「地盤内構造物」という。)は、直接的に品質を確認することは難しい。

このため、地盤技術者は、調査・設計・施工の各段階において、地盤特性及び地盤内構造物の特徴に応じ、品質向上に努めなければならない。

以上のような状況を踏まえて、地盤内構造物の品質確保に関して、以下の問いに答えよ。

なお解答の目安は(1)を1枚程度、(2)を2枚程度とする。


(1)地盤内構造物において想定される、地盤の不均質性や調査の不確実性に起因する不具合を2つ挙げ、

それぞれの原因及び技術的課題について抽出し、記述せよ。

(2)(1)で挙げた2つの不具合に対し、抽出した技術的課題について、品質を確保するために実施すべき、

最も効果的な対応策(ただし不具合発生後の対応策は除く。)を提示し、説明せよ。

また提示した対応策を実施した場合の効果(メリット)と、それらを実行する際の問題点、留意点を論述せよ。


模範解答

(1)地盤構造物において想定される不具合

不具合1 地盤改良体の強度不足

原因: 地盤の不均質性により固化材が適合せず必要な強度が得られないため。

課題: 不均質な地盤において適正な固化材の配合を決定すること

不具合2 杭体の破損

原因: NF(ネガティブフリクション)により杭に発生する圧縮力が杭体強度を超えるため。

課題: 杭表面にすべり層を設け有害なNFを低減する杭の提案

(2)効果的な対応策と効果、問題点、留意点

課題1 不均質な地盤において適正な固化材の配合を決定すること

対応策:現場と室内試験で得られた地盤強度の関係をグラフで示し、ばらつきを調べ、原地盤の改良強度は、室内での配合試験強度を割り引いて考え、室内試験の1/2~1/4で設定する。

問題点: 土層構成が複雑な場合、各層ごとに配合試験を行う必要があるが、配合条件が煩雑になる。

留意点: その場合、各土層の物性値を調査し、最も強度が出にくい土層を仮定し、現場試験により改良効果を確認する。

課題2 杭表面にすべり層を設け有害なNFを低減する杭の提案

対応策: スリップレイヤー(SL)杭

効果:SL杭表面の瀝青材料がNFに対して粘性流体の挙動を示し、残留摩擦応力を低減する

問題点: 転石、砂礫層によるSL層の剥がれ、傷等の損傷

留意点:SL杭施工時に、SL層に剥離、摩擦等の損傷対策として保護金具(フリクションカッター)を取り付け保護した。

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